プロジェクト「オホーツク・ブルーカーボン」

カーボン・ニュートラル

 カーボン・ニュートラルと言う考え方は?どんなものなのでしょうか?

 人間の生産活動や生活で排出される二酸化炭素などの「温室効果ガス」の排出を減らし、地球への環境負荷を減らす方向で世界が動いています。

 カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と森林などによる二酸化炭素の吸収量の差引きを±0にするという考え方です。

 森林などの植物は、二酸化炭素を吸収して酸素を大気に放出する「光合成」をしています。しかしながら、排出量に比べて、森林の面積が少なく。現状では、±0になるのは厳しい状況です。

 そこで、森林だけではなく、地球の7割を占める海洋や海藻などんいよって吸収される二酸化炭素の量が注目されています。

ブルーカーボンとは

 2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書において、藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた(captured)炭素が「ブルーカーボン」と命名され、吸収源対策の新しい選択肢として提示されました。

 ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系として、海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林が挙げられ、これらは「ブルーカーボン生態系」と呼ばれています。

生態系の特徴

 海草(うみくさ)藻場:アマモ、スガモ等、主に温帯~熱帯の静穏な砂浜、干潟の沖合の潮下帯に分布。

 海藻(うみも)藻場:コンブ、ワカメ、主に寒帯~沿岸域の潮間帯から水深数十mの岩礁海岸に分布。

 湿地・干潟:海岸部に砂や泥が堆積し勾配がゆるやかな潮間帯の地形、水没~干出を繰り返します。

メカニズム

 ブルーカーボン生態系による隔離・貯留のメカニズムは、まず、大気中のCO2が光合成によって浅海域に生息するブルーカーボン生態系に取り込まれ、CO2を有機物として隔離・貯留するところから始まります。
 
 枯死したブルーカーボン生態系が海底に堆積するとともに、底泥へ埋没し続けることにより、ブルーカーボンとしての炭素は蓄積されます。

 岩礁に生育するコンブやワカメなどの海藻においては、葉状部が潮流の影響により外洋に流され、その後、水深が深い中深層に移送され、海藻が分解されながらも長期間、中深層などに留まることによって、ブルーカーボンとしての炭素は隔離・貯留されます。

紋別海域の藻場

オホーツクタワー

 氷海展望塔オホーツクタワー周辺は水深10mの砂泥域が広がる海域です。

 海底階の屋根に相当する部分には海藻が繁茂しており、魚類の隠れ家、餌場、産卵場として利用されていることを確認しています。

 砂泥域に消波ブロックや構造物が設置されていると、海藻が繁茂し、コンブ類を中心とする大型海藻の藻場が創出されます。
 藻場が創出されると、餌場や隠れ家として利用する魚類が集まります。
写真には、スジメ、ウガノモクなどが繁茂しているのがわかります。
 紋別港周辺の藻場は、消波ブロックや防波堤の他、弁天岬付近の岩礁地帯に藻場が確認されています。

 これら、藻場の面積から、紋別海域におけるブルーカーボンの量を推算したいと考えています。

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