アムール川産じゃなかった
写真-1 流氷
流氷ってどこから来ると思いますか? 「アムール川から冬の使者がやってきました」なんてテレビのニュースで伝えられることが多かった時代があります。2,000キロの旅をしてはるばるやってくる。感動的な演出ですよね。 その謎を解決するため、20年以上も前に北海道大学などの研究機関が科学的な調査を行いました。
アルゴスブイによる研究
その謎を解決するため、20年以上も前に北海道大学などの研究機関が科学的な調査を行いました。 人工衛星で追跡できる漂流ブイを使った調査でした。アルゴスブイと言います。使用した漂流ブイは、全部で4個でした。シャンタルスキー湾(赤)、アムール川河口(黄)、サハリン東沿岸(青、緑) です。 シャンタルスキー湾とアムール川河口の漂流ブイは、エリザヴェータ岬を超えられずに動きが止まってしまいました。これは、結氷が進んだため漂流ブイが氷の大陸の中に取り込まれ動かなくなったことを意味していました。 一方、サハリン東海岸の漂流ブイは、北海道周辺海域までやってきました。これは、漂流ブイが東樺太海流に乗って南下していたことを示していました。 なお、基本となる地図は、気象庁HPの「オホーツク海周辺図」を用いました。
図-1 アルゴスブイの軌跡
参考文献) 洋物理からみたオホーツク海の特徴,若土正曉 アルゴスプイと流氷レーダによるオホーツク海北海道沿岸の海氷観測,舘山一孝,自 澤邦男,石 川正雄,高塚徹,大坊孝春,豊 田威信,猪 上淳,高 辻慎也,向井祐二,木村詞明 (北 大低温研),中 山雅茂 (宇 宙開発事業団),直本和弘 (千 葉大),下田春人 (海技研),鈴木英一,杉本綾 (一管本部海洋情報部),福 田明 (静 岡大),北海道の雪氷 No 22,2003 アルゴスブイの移動速度の見積り誤差について,石井春雄,水路部研究報告第35号,1999