2022年シーズンの海氷の面積は、例年に比べてどうだったのでしょうか? オホーツク海の海氷面積は、12月に平年並みに海氷面積を広げていましたが、1月初旬にやや失速しました。 平年に比べて、青森県・岩手県・宮城県くらいの面積分少なく推移していました。
流氷分布図

図-1 オホーツクの海氷面積の推移
流氷量の推移
紋別海域における流氷初日は1月20日、流氷終日は3月27日でした。流氷期間は67日間でした。 また、流氷接岸初日は、流氷初日の翌日である1月21日となり、2013年以来9年ぶりの出来事でした。海明けは2月27日でした。 昨年と比較すると流氷初日は同日、流氷接岸初日は5日早い、海明けは6日早い、流氷終日は2日早い結果となりました。

図-2 紋別海域の流氷量
流氷初日と終日
紋別海域における流氷初日と終日をグラフ化してみました。 流氷初日はだんだん遅く、流氷終日はだんだん早くなっていることが読み取れます。 つまり、流氷を見られる期間は短くなっているのです。

図-3 流氷初日と流氷終日
流氷期間
流氷初日が遅く、流氷終日が早くなれば、おのずと流氷期間は短くなります。 1950年代には、80日を超えていた流氷期間は、2020年代になると60日程度になっています。

図-4 流氷期間の推移
気温と水温の推移
紋別海域の1~3月の平均気温と平均水温の推移です。 平均気温も平均水温も上昇傾向であることがわかります。 平均気温は、1956年に-5℃を下回っていましたが、2015年以降-4℃を上回っています。約60年で約2℃弱も平均気温が上昇していることになります。 平均水温はどうでしょうか? 平均水温は、以前、-1℃付近で推移していましたが、近年0.5℃付近であることがわかります。

図-5 冬季における平均気温と平均水温の推移
続きまして、月別の平均水温に着目してみましょう。 2月の平均水温は、意外と変化がないことがわかります。むしろ微減となっており一時回帰直線を下回る分布も見られます。 それに対して、3月の平均水温は、0℃を超え、1月の平均水温も0℃を超える勢いです。つまり、2月以外の平均水温は明らかな上昇傾向がみられています。

図-6 月別平均水温の推移
紋別海域の流氷勢力
紋別海域における海氷観測は、気象庁(1956~2007年)、海上保安庁(1976~2020年)、氷海展望塔オホーツクタワー(2015~2021年)が実施しております。 2022年シーズン以降は「もんべつ海の学校」の観測資料を用いることとします。 全体的に紋別海域の流氷勢力は、右肩下がりで約1/5に減少しているのがわかります。近年では、1,000%・日前後で推移しています。

図-7 紋別海域の流氷勢力
紋別海域の流氷勢力の傾向
今後も、流氷勢力は減少していくでしょう。 圏外からの移流がるため、紋別産の海氷は減っても圏外から流れてくる流氷によってゼロにはならないと思われます。 紋別海域が、かろうじて凍る海という理由はここにあります。 1950年代に5,000%・日を超えていた流氷勢力は、100%の日が50日程度あったことを意味しています。また、近年1,000%・日ということは、100%の日が10日程度ということになります。 沿岸から水平線までは、約10キロ、オホーツクタワーからは約18キロ、紋別公園からは約30キロが見渡せます。 一面が流氷で覆われる日が少なくなっているのは間違いないようです。

図-8 流氷勢力の一次回帰直線