■日本の砕氷船
日本には、旧日本鋼管の南極観測船の技術を引き継いだ流れと、アラスカの油田開発の作業船として産声を上げた三井造船の流れの2系統の砕氷船があります。 南極観測船「宗谷」・巡視船「宗谷」~南極観測船「ふじ」→巡視船「そうや」→南極観測船「(初代)しらせ」→巡視船「てしお」→観光船「おーろら」→観光船「おーろら2」→南極観測船「しらせ」が旧日本鋼管系。 試験船「おほーつく」→観光船「ガリンコ号」→観光船「ガリンコ号Ⅱ」→観光船「ガリンコ号Ⅲ IMERU」が三井造船系。
南極観測船「宗谷」
1936年(昭和11年)9月18日に、川南工業株式会社香焼島造船所は、ソビエト連邦通商代表部より、当時の基準で砕氷型貨物船3隻の発注を受けました。 砕氷型貨物船第107番船として川南工業株式会社香焼島造船所(長崎県)にて起工、1938年(昭和13年)2月16日、川南工業社長の長女 川南幸子の手によってソ連船ボロチャエベツ (Волочаевец) として進水しました。進水時の船体色は黒で、船名の下に「ペトロパブロフスク・カムチャツキー」と船籍港が書かれていました。 1939年から1941年まで海軍の特務艦、1945年には引揚船、1949年(昭和24年)に灯台補給船そうや(LL-01)として任務に就きました。 1955年11月24日-12月12日には、三菱日本重工横浜造船所のドックで総点検が実施され、12月24日、灯台補給船としての解任式が行われ、同日をもって巡視船(PL107)へ種別変更されました。 一般的に南極観測船として知られる本船ですが、海上保安庁での扱いは大型巡視船でした。 南極観測船としては、第1次観測(1956年11月8日-1957年4月24日)から、第6次観測(1961年10月30日-1962年4月17日)まで従事しました。その後、巡視船宗谷(PL107)として活躍、1978年10月2日に退役しました。 【要目】 総トン数:2.224t(地領丸) 全 長:82.3m(地領丸) 最大幅:12.8m(地領丸)
図ー1 南極観測船『宗谷』
南極観測船「ふじ」
文部省の二代目南極観測船、日本では初となる極地用の本格的な砕氷艦として建造されました。自衛艦としては初のヘリコプター搭載艦でもありました。 海上自衛隊艦番号AGB-5001。 1965年(昭和40年)3月18日に進水、7月15日に竣工しました。同年から南極観測船としての役割を海上保安庁の「宗谷(そうや)」より引継ぎ、1983年(昭和58年)4月まで海上自衛隊により運用され南極地域観測隊輸送に従事しました。 1984年(昭和59年)4月11日に退役しています。 【要目】 総トン数:5,250t 全 長:100.0m 最大幅:22.0m
図ー2 南極観測船『ふじ』
南極観測船「しらせ」~初代
1981年(昭和56年)12月11日に進水、翌年11月12日に就役しました。南極観測船「ふじ」より引継ぎ、2008年(平成20年)4月まで海上自衛隊により運用され南極地域観測隊輸送に従事しました。 2008年(平成20年)7月30日に退役しています。 海上自衛隊艦番号AGB-5002。 2009年11月9日、南極地域観測統合推進本部は「しらせ」を同年1月に「スクラップになるのはもったいない」・「気象や環境問題の情報発信や議論の場として活用したい」と、「しらせ」の購入を文部科学省に提案していた、民間の気象情報会社「ウェザーニューズ」に売却すると発表。環境情報発信基地として、「第二の人生」を送ることになりました。 【要目】 総トン数:11,600t 全 長:134.0m 最大幅:28.0m
図ー3 南極観測船『(初代)しらせ』
南極観測船「しらせ」
2008年(昭和56年)4月16日に進水、翌年5月20日に就役しました。南極観測船「(初代)しらせ」より引継ぎ、海上自衛隊により運用され南極地域観測隊輸送に従事しています。 海上自衛隊艦番号AGB-5003。 【要目】 総トン数:12,650t 全 長:138.0m 最大幅:28.0m
図ー4 南極観測船『しらせ』
巡視船「そうや」~改装前
第一管区海上保安本部 釧路海上保安部所属の巡視船です。ヘリコプター1機を搭載した巡視船です。 【要目】 総トン数:3,562t 全長:98.6m 最大幅:15.6m
図ー5 巡視船『そうや』
巡視船「そうや」~改装後
第一管区海上保安本部 釧路海上保安部所属の巡視船です。ヘリコプター1機を搭載した巡視船です。 【要目】 総トン数:3,562t 全長:98.6m 最大幅:15.6m
図ー6 巡視船『そうや』~改装後
巡視船「そうや」~新造船
2021年8月、令和4年度概算予算要求において代替建造船が令和7年度就役予定で要求項目に計上されました。その後、12月20日成立した令和3年度補正予算に繰上げ計上されました。 写真は、2012年1月釧路港で撮影した改装後の巡視船『そうや』です。 【要目】 総トン数:—t 全長:—m 最大幅:—m
図ー7 巡視船『そうや』~建造中
巡視船「てしお」
第一管区海上保安本部 羅臼海上保安署所属の巡視船です。中型巡視船です。 【要目】 総トン数:563t 全長:54.9m 最大幅:10.6m
図ー8 巡視船『てしお』
観光船「おーろら」
1990年(平成2年)9月進水、1991年(平成3年)1月運航。 【要目】 総トン数:491t 全長:45.0m 最大幅:10.0m
図ー9 観光船『おーろら』
観光船「おーろら2」
1994年(平成6年)10月進水、1995年(平成7年)1月運航。 【要目】 総トン数:489t 全長:45.0m 最大幅:10.0m
図ー10 観光船『おーろら2』
実験船「おほーつく」
【要目】 総トン数:—t 全長:24.9m 最大幅:7.6m
図ー11 実験船『オホーツク』
観光船「ガリンコ号」
図ー12 観光船『ガリンコ号』
観光船「ガリンコ号Ⅱ」
ガリンコ号を参考に建造された流氷観光船です。 1996年8月進水、1997年1月20日就航。 【要目】 総トン数:150t 全長:34.77m 最大幅:7.0m
図ー13 観光船『ガリンコ号Ⅱ』
観光船「ガリンコ号Ⅲ IMERU」
IMERUは、アイヌ語で「光」と言う意味があるそうです。 2020年7月29日進水、2021年1月9日就航。 【要目】 総トン数:366t 全長:45.5m 最大幅:8.5m
図ー14 観光船『ガリンコ号Ⅲ』
北極域研究船
海洋研究開発機構が発表した北極域研究船です。 名前の公募がなされています。研究船のイメージ映像が公開されています。 研究船の概要は、商船三井のホームページに掲載されました。 主な要目(計画) (1)全長:128m (2)船幅:23m (3)喫水:8m (4)国際総トン数:13,000トン (5)砕氷能力:平坦1年氷 1.2mを3.0ktの船速で連続砕氷可能 (6)耐氷能力:ポーラークラス4 (7)乗員:99名
図ー15 JAMSTEC調査船
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