流氷大回転は、昔から存在が知られていました。流氷大回転は、流氷があるために可視化される巨大な渦です。 宗谷海峡を通過した流れが地形の影響を起こして発生するとか、密度渦であるとか研究がまだ始まったばかりですが、雄武沖など沿岸から50キロ以内で発生し、反時計回りの渦であることがわかってきています。
巨大な渦
流氷大回転は、渦の直径が数十キロに達する巨大な渦です。航空機からしか見られません。 写真は、海上保安庁海洋情報部から提供を受けました。
写真-1 流氷大回転(海上保安庁提供)
1991年6月、私が初めて訪問した北海道大学低温科学研究所付属流氷研究施設の正面玄関には、既に流氷大回転のパネルが掲示してありました。 かなり前から存在は知られていたようです。 北海道大大学低温科学研究所大島教授によれば、沿岸20~30キロの範囲にいくつも渦が出来ることもあり、最近、研究が進められていると言います。
写真-2 流氷大回転
映像ー1 流氷大回転(2017年)
巨大な渦の理由
オホーツク海は、最北の宗谷岬と樺太の間にある幅30kmほどの宗谷海峡で日本海と接しています。オホーツク海北海道沿岸の流れは、日本海とオホーツク海東海域の水位差で流れが生じており、その水位差が大きいほど流速が速くなります。夏季から晩秋にかけては「宗谷暖流」として南東流しています。 冬季において表層低塩分水の影響下にある北海道沿岸では、宗谷暖流の勢力が弱くなり、海底付近まで追いやられていることが知られています。 この流れが地形の影響を受けて大きな渦を形成することがあり、その現象が流氷によって可視化されたのが流氷大回転であるという考え方もあるようです。 ちょうど川幅が狭くなった橋脚の背後に出来る渦と同じようなイメージでしょうか?! 「流氷大回転」は、1m/s程度でゆっくり動く流氷の帯、まさに「大回転」と言う名にふさわしい渦なのです。 ゆっくりな渦であっても、中心に向かって海水が移動しますから、そこには生物が集まります。つまり、その海底に栄養分を集め運んでくれる重要な役割を果たしていると考えられています。