05-03 生物のゆりかご

■旅する氷

 流氷域を航行していると、茶色に染まった流氷を見かけます。
これが、旅をしてきた氷であり、茶色の源はアイスアルジーと呼ばれる植物プランクトンなんです。

写真-1 海氷の裏のアイスアルジー

 鉄分は、光合成をおこなう植物プランクトンにとって不可欠な栄養素であることがわかってきました。北海道沿岸にとって流氷はどのような役割を果たしているのでしょうか?

 流氷の下には、アイスアルジーと呼ばれる藻が付着することが知られています。
 流氷は、アイスアルジー(植物プ ランクトン)と共に多くの栄養分を北海道沿岸まで運んでくれます。  

 氷海展望塔オホーツクタワーの 海底階の観察窓には、流氷が去っ た3月末、付着珪藻がびっしりついています。 年によって付着時期や量は異なります。

 付着珪藻は、1週間くらいで綺麗に剥がれます。 

動画-1 観察窓に付着した珪藻

■春のブルーミング

 流氷が去った海は、流氷の下に 付着したアイスアルジーの他、植物プランクトンの大増殖「ブルーミング」 が起こり、海水は緑色が濃くなります。

 グラフは、地方独立行政法人北海道立総合研究機構「マリンネット北海道」HPより「試験研究は今 No.713「オホーツク海のホタテガイの餌環境を周年把握する」(2012年5月8日)」より引用させていただきました。

 赤丸がクロロフィルaが増加している箇所です。雄武→紋別→常呂と移行しているようにも見えます。

 この大増殖がオホーツクの豊かさを支える源なのです。

図-3 オホーツク海のクロロフィルaの経時変化

  オホーツクタワーから海中を除くと海の中は、いつも緑色です。

  これは、海水中の植物プランクトンが多いことを示しています。

写真-2 水中の様子

■稚魚の餌場

 その頃になると、観察窓には、オキアミが群れで確認できます。さらに、オキアミやヨコエビなど動物プランクトンが増えると、餌として稚魚が増えます。

動画-2 オキアミ

写真-3 動物プランクトン

Loading