海氷は、しょっぱいですか?しょっぱくないですか?どちらだと思いますか?
写真-1 融解時期の海氷
海水から上げたばかりの海氷は、海水に浸かってましたから、しょっぱいです。 しかしながら、海氷自体には、塩分がほとんど無いと言われています。
■海氷中の塩分
氷の厚さと共に海氷中の塩分はどの程度なのかグラフを作ってみました。グラフを見ると、氷中の塩分は厚さが増せば、増すほど低くなっているのがわかります。 これは、氷の成長と共に海氷中の海水が下へ落ちていく現象が関係しています。 海氷が成長すると海水面より出る海氷の部分が増します。それに伴い、液体として存在する海水は、周囲の海水と合流し更に下へ降りていきます。濃い海水は、表層の海水よりも密度が重いため、海氷外へ吐き出されます。
図-1 海氷中の塩分
■ブライン
海氷が成長する過程で、海氷の中に海水が閉じ込められてしまいます。パッチ状に残った海水はどんどん濃くなっていきます。濃い海水は氷点降下で 凍りづらくなります。この濃い海水を「ブライン」と呼びます。 液体で居ると周囲の氷を少し溶かして重さで下に落ちていきます。ブラインの通り道を「ブラインチャンネル」と言います。 海氷から排出される濃い海水は、こうして生まれます。 氷が成長すればするほど海氷中のブラインは、下に落ちていき、海氷の外に排出されます。したがって海氷中のブラインは少なくなり、塩分がわずかに残る状態になります。こうして、海氷が成長すればするほど、海氷中の塩分が減少するということになります。
図-2 海氷中のブラインチャンネル
図-3 北海道大学のHP
参考文献) ・白い海、凍る海―オホーツク海のふしぎ,青田 昌秋,1993,東海大学出版会