03-02 静かなる流れ

■流氷が生み出す流れ

 成長する海氷は、海面から浮き出した氷の面積が薄い氷に比べると大きくなります。海氷から吐き出された濃い海水は、どうなるのでしょうか?

 実は、この濃い海水が様々な海洋現象を引き起こし海を豊かにする原動力となっています。

図-1 海氷中のブラインチャンネル

■海水の密度

 海氷から吐き出された濃い海水は密度が重たいです。これは、水温が低く塩分が濃い海水であるためです。

 海水の密度は、水温と塩分で決まります。水温が低ければ密度は重く、水温が高ければ密度は軽くなります。また、塩分は、濃いと密度が重く、薄いと密度は軽くなります。

 海水は、同じ密度の水塊まで下降し、そこで安定します。

図-2 海水の密度のイメージ

図-3 密度差による成層状態

■海水の挙動

 海氷から吐き出された濃い海水は、水温が低く塩分が高い密度が重い海水です。海水中では、同じ密度の水塊まで落ちていきます。これを密度対流と言います。
 この現象は、海氷が生まれる前にも、海氷面が冷却されることでも生じていますから、凍る海の水中では、密度対流により密度の重い水塊が下層へ移動する現象が常に起こっているのです。

図-4 海氷下の流れ

参考文献)
 ・白い海、凍る海―オホーツク海のふしぎ,青田 昌秋,1993,東海大学出版会

Loading